2012年栃木清興美術展受賞作品と講評
講評:高山 知也(常任理事)
栃木県知事賞 櫻井 和恵 「華麗」
大輪の花の淡いピンクの色彩とそれを包む枝葉と空などの色彩が品良くそして美しく調和している。 さらに力強く的確なデッサン力により構成された絵画的骨格が、この作品に生き生きとした生命感を与えている。
栃木県議会議長賞 狩野 啓子 「もう一つの世界」
とかくメルヘン調の作品は上滑りになりがちであるが、この作品はしっかりとしたデッサン力に基づき構成されている。 子供と2匹の猫の視線の造り出す三角形は、子供の顔に収斂する様に知的に構成されている。色彩も黒を引っ掻いた線からにじみ出しているようで美しい。
宇都宮市長賞 渡邉 三次 「山形・米沢 郷愁の秋」
遠景の山並みと中・近景で造りだされる空間はたっぷりとしていて気持ちの良い広がりを感じさせる。 清らかな明るい色彩の醸し出す空気感が、季節感と共に作者の澄んだ故郷への想いが表現されている美しい作品である。
宇都宮市議会議長賞 福 島 濱 次 「赤い屋根の見える風景」
内なる絵画的情熱を抑えるように一筆一筆色彩をしっかり並べ、積み重ねて表現している。 そうした色彩の一点一点の集積は全体となり、そこから作者の作品に込めた思いが溢れるように伝わってくる。